毎年7月に入ると耳にする「土用(どよう)」という言葉。
特に「土用の丑(うし)の日」にうなぎを食べる習慣は、日本の夏を代表する風景のひとつです。
「土用」とは、季節の変わり目
「土用」とは、中国の五行思想(1)に由来する暦の考え方です。五行思想では、自然界のあらゆるものを「木・火・土・金・水」の5つの要素で説明します。この思想が日本の暦にも影響を与え、四季の終わり約18〜19日間を「土用」と呼ぶようになりました。
実は「春の土用」「夏の土用」「秋の土用」「冬の土用」と年に4回存在し、なかでも広く知られているのが「夏の土用」です。
これは立秋(8月初旬)の直前、つまり7月下旬から8月初旬にあたる時期で、梅雨が明け、気温・湿度が急上昇する一年でもっとも体調を崩しやすい季節です。
「土用の丑の日」とは?──なぜ“うなぎ”なのか
「土用の丑の日」(2)とは、土用の期間中にめぐってくる「十二支」の“丑”にあたる日のことを指します。十二支は年だけでなく日付にも使われ、12日ごとに「子・丑・寅…」と繰り返されます。
現在では「丑の日=うなぎの日」として定着していますが、なぜうなぎなのでしょうか?
その由来には諸説ありますが、江戸時代の発明家・学者である平賀源内(ひらが げんない)が関わったという説が有名です。
夏にうなぎが売れず悩んでいた店主に、源内が「“本日 土用丑の日”と書いて店頭に貼るとよい」と助言したところ、それが話題を呼び、大繁盛したというのが始まりとされています。
「う」のつく食べ物で夏を乗り切る
土用の時期には、暑さで食欲や体力が落ちることを見越して、“う”のつく食べ物を食べると夏バテしにくい」という風習が古くから広まりました。
代表的なものは以下の通りです:
うなぎ:高たんぱく・高脂質。ビタミンA・B群・E・Dを豊富に含み、疲労回復や食欲増進に役立つ うどん:のどごしが良く、冷たくしても温かくしても食べやすい
梅干し:塩分とクエン酸により、ミネラル補給と疲労回復をサポート
うり類(きゅうり・すいか・冬瓜など):水分とカリウムが豊富で、体の熱をやわらげてくれる
これらはいずれも、当時の人々が経験から選び抜いた“夏にふさわしい食材”。
身体へのやさしさと、季節に合わせた知恵が詰まっています。
現代にも生きる、暮らしの工夫
「土用」は単なる“うなぎの日”ではなく、季節の変わり目に体調をととのえる“食の節目”でもあります。 暑さで疲れやすい時期だからこそ、冷たいものばかりに頼らず、消化にやさしい食事を意識したいものです。
“食べること”で、ゆるやかに季節と向き合う。
昔の人が大切にしてきた季節の知恵を、現代の暮らしにも取り入れて、夏を元気に乗り越えていきましょう。
(1)五行思想(ごぎょうしそう):古代中国の自然哲学で、全てのものは「木・火・土・金・水」の5つからなるという思想。季節については、春は木、夏は火、秋は金、冬は水、そして各季節の変わり目(土用)は土に対応する。 (2)十二支の「丑(うし)の日」:十二支(子・丑・寅…)は、年だけでなく日付にも使われており、12日ごとに繰り返される。「丑の日」とは、その中で「丑」にあたる日のこと。「土用の丑の日」とは、土用の期間中に巡ってくる“丑の日”を指す。
参考文献
お天気ママ. (2023, July 25). “土用の丑の日にうなぎ”のルーツは平賀源内じゃない!?意外に知られていない本当の由来. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c9ae99c44c87cc268b04fb52ba7bd143cdc
株式会社うなぎ戸村川魚店. (n.d.).本当は知らないうなぎの栄養価.https://www.unagi-tom.com/app/Blogarticleview/index/ArticleId/3
株式会社うめひかり. (n.d.). 梅干しの効能|デメリットと効果的な食べ方を解説. https://umenokuni.com/blogs/umeboshi-knowldge/effects-of-umeboshi
ごはん彩彩編集部. (n.d.). 【7月】「土用の丑の日」になぜ、うなぎを食べるの?. https://www.gohansaisai.com/know/entry/detail.html?i=238
産泰神社. (2025). 【2025年夏到来!】土用の丑の日はなぜうなぎ?暑さに負けない昔ながらの風習とは. https://www.santai-jinja.jp/blog/doyo-when/
農林水産省. (n.d.). ウナギに関する疑問. https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1607/spe2_01.html
Calendia編集部. (2023, July 20). 土用-季節の変わり目-[2025年版. Calendia. https://www.calendia.jp/content/storeblog/5883
特に「土用の丑(うし)の日」にうなぎを食べる習慣は、日本の夏を代表する風景のひとつです。
「土用」とは、季節の変わり目
「土用」とは、中国の五行思想(1)に由来する暦の考え方です。五行思想では、自然界のあらゆるものを「木・火・土・金・水」の5つの要素で説明します。この思想が日本の暦にも影響を与え、四季の終わり約18〜19日間を「土用」と呼ぶようになりました。
実は「春の土用」「夏の土用」「秋の土用」「冬の土用」と年に4回存在し、なかでも広く知られているのが「夏の土用」です。
これは立秋(8月初旬)の直前、つまり7月下旬から8月初旬にあたる時期で、梅雨が明け、気温・湿度が急上昇する一年でもっとも体調を崩しやすい季節です。
「土用の丑の日」とは?──なぜ“うなぎ”なのか
「土用の丑の日」(2)とは、土用の期間中にめぐってくる「十二支」の“丑”にあたる日のことを指します。十二支は年だけでなく日付にも使われ、12日ごとに「子・丑・寅…」と繰り返されます。
現在では「丑の日=うなぎの日」として定着していますが、なぜうなぎなのでしょうか?
その由来には諸説ありますが、江戸時代の発明家・学者である平賀源内(ひらが げんない)が関わったという説が有名です。
夏にうなぎが売れず悩んでいた店主に、源内が「“本日 土用丑の日”と書いて店頭に貼るとよい」と助言したところ、それが話題を呼び、大繁盛したというのが始まりとされています。
「う」のつく食べ物で夏を乗り切る
土用の時期には、暑さで食欲や体力が落ちることを見越して、“う”のつく食べ物を食べると夏バテしにくい」という風習が古くから広まりました。
代表的なものは以下の通りです:
うなぎ:高たんぱく・高脂質。ビタミンA・B群・E・Dを豊富に含み、疲労回復や食欲増進に役立つ うどん:のどごしが良く、冷たくしても温かくしても食べやすい
梅干し:塩分とクエン酸により、ミネラル補給と疲労回復をサポート
うり類(きゅうり・すいか・冬瓜など):水分とカリウムが豊富で、体の熱をやわらげてくれる
これらはいずれも、当時の人々が経験から選び抜いた“夏にふさわしい食材”。
身体へのやさしさと、季節に合わせた知恵が詰まっています。
現代にも生きる、暮らしの工夫
「土用」は単なる“うなぎの日”ではなく、季節の変わり目に体調をととのえる“食の節目”でもあります。 暑さで疲れやすい時期だからこそ、冷たいものばかりに頼らず、消化にやさしい食事を意識したいものです。
“食べること”で、ゆるやかに季節と向き合う。
昔の人が大切にしてきた季節の知恵を、現代の暮らしにも取り入れて、夏を元気に乗り越えていきましょう。
(1)五行思想(ごぎょうしそう):古代中国の自然哲学で、全てのものは「木・火・土・金・水」の5つからなるという思想。季節については、春は木、夏は火、秋は金、冬は水、そして各季節の変わり目(土用)は土に対応する。 (2)十二支の「丑(うし)の日」:十二支(子・丑・寅…)は、年だけでなく日付にも使われており、12日ごとに繰り返される。「丑の日」とは、その中で「丑」にあたる日のこと。「土用の丑の日」とは、土用の期間中に巡ってくる“丑の日”を指す。
参考文献
お天気ママ. (2023, July 25). “土用の丑の日にうなぎ”のルーツは平賀源内じゃない!?意外に知られていない本当の由来. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c9ae99c44c87cc268b04fb52ba7bd143cdc
株式会社うなぎ戸村川魚店. (n.d.).本当は知らないうなぎの栄養価.https://www.unagi-tom.com/app/Blogarticleview/index/ArticleId/3
株式会社うめひかり. (n.d.). 梅干しの効能|デメリットと効果的な食べ方を解説. https://umenokuni.com/blogs/umeboshi-knowldge/effects-of-umeboshi
ごはん彩彩編集部. (n.d.). 【7月】「土用の丑の日」になぜ、うなぎを食べるの?. https://www.gohansaisai.com/know/entry/detail.html?i=238
産泰神社. (2025). 【2025年夏到来!】土用の丑の日はなぜうなぎ?暑さに負けない昔ながらの風習とは. https://www.santai-jinja.jp/blog/doyo-when/
農林水産省. (n.d.). ウナギに関する疑問. https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1607/spe2_01.html
Calendia編集部. (2023, July 20). 土用-季節の変わり目-[2025年版. Calendia. https://www.calendia.jp/content/storeblog/5883