風に初夏の気配が混じり始める5月下旬から6月初め。
日差しは日に日に力強くなり、道端の紫陽花(あじさい)が少しずつ色づき始めます。
季節の移ろいが加速するこの時期は、気温や湿度の変化も大きく、身体も心も揺らぎがちな季節です。
そんなときこそ、日々の食卓に“旬”を取り入れて、季節のリズムにそっと寄り添ってみませんか。
初夏に楽しむ旬の食材
たとえば、新しょうが。
★新しょうが:通年で出回る一般的なしょうが(根生姜)を初夏の時期に収穫したもの
この時期に出回る新しょうがは、みずみずしくて辛みが穏やか。
甘酢漬けや炊き込みごはんにすれば、さわやかな香りとほんのりした辛みが口いっぱいに広がります。
免疫力アップだけでなく、疲れやすい初夏の体を、やさしく目覚めさせてくれるような味です。
また、そら豆やグリーンピース、スナップエンドウなど、ビタミンを多く含む豆類が豊富になるのもこの季節。
どれも、火を入れすぎずに塩ゆでして、そのまま食べるのが一番のごちそう。
豆の香りと甘みをしっかり感じることで、「旬を味わっている」実感が湧いてきます。
そして、梅。
青梅が出回るこの時期は、梅酒や梅シロップ、梅干しなど、保存食づくりを楽しむ方も多いのではないでしょうか。
★青梅:まだ実が青い状態で、早めに収穫されるもの
梅仕事は「初夏の風物詩」。
季節と向き合い、手を動かす時間は、日々の喧騒から少し離れた、特別なひとときになります。
旬の食材を取り入れるというのは、単に「新鮮だから美味しい」というだけではありません。
その季節に必要な栄養や香り、口当たりが自然と整っていて、私たちの身体にちょうどいいようにできている。
だからこそ、体調を崩しやすい季節の変わり目にこそ、旬のものを少しずつ食べることが、いちばんの“整え”になるのかもしれません。
また、初夏は“涼”を取り入れはじめる時期でもあります。
薬味や香味野菜――みょうが、大葉、柚子胡椒、すだちなどを添えるだけで、いつものおかずもすっきりと涼しげに感じられます。
器にも季節を取り入れて、ガラスや竹製の小鉢などを選んでみるのもおすすめです。
冷たいものばかりを求めてしまうこれからの季節ですが、冷やしすぎず、やさしく整えるような一皿を。
香りと彩りで五感を満たしながら、ゆるやかに夏へ向かう準備を、食卓から始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
のり弁 はれとけ.(2024年5月21日). 食材を大切に、素材を活かす「焼津屋本舗」の商品づくり. https://noriben-haretoke.jp/archives/712
東京製菓材料株式会社.(2024年5月31日). 国産小麦の焼き菓子に適した「製菓用薄力粉」新発売 . https://www.tokyo-seika.co.jp/business/prod/240531/
田地本農園.(2024年1月31日). 黒豆甘納豆の製造風景と伝統技術の継承について. https://www.tajimoto-irimame.com/news/2024-01-31/
中田食品株式会社.(2024年). 「梅と暮らし」UMEDIA vol.19 梅と昆布の深い関係. https://www.nakatafoods.co.jp/umedia/detail/19